デリバティブの中で米ドルをはじめとした通貨を売買する権利を取引
する取引を通貨オプションといいます。基本的に通貨オプションは、
為替取引にオプションの要素が加わった取引です。
例えば、N貿易会社がは、今現在90円の 為替相場が、85円にくら
いまで円高になると予想している状態にある仮定します。
しかし、現実的に考えても為替相場の予測も難しいわけです。です
ので、N貿易会社の担当者は円安になる可能性も捨てきれないの
でドルを売る権利を買うことにしました。
どういったことかとえば、ドルを 売るオプション=ドル・プット・オプシ
ョンを買うことにしたわけです。そして、行使価格を90円とした場合
に対して、オプション料が1円かかることになりました。
このような 通貨オプション取引をしたN貿易会社は今後の為替相場
の変動によりどのような影響を受けることになるでしょうか。
まず、予想に反して85円まで円安になった場合には、N貿易会社は
90円で売る権利を持っているので、市場が95円まで円安が進んだ
時に、90円でドルを売る権利を行使してしまっては損が出ます。
このため、予想していた以上に円安が進んだ際には権利を放棄しま
すので、この時はオプション料1円が損失となります。米ドルが89円
まで下落すると、90円の
米ドル売りの
オプションが生きてきます。
つまり、90円でドル売りの権利を行使して、市場で89円で買い戻せ
ば1円の利益となりますが、すでにオプション料として1円を支払って
いますのでこの場合の差引損益はゼロです。
上述したことから仮に88円を超えて円高が進むことによって、N貿易
会社の利益は増加することになるわけです。
たとえば86円まで円高が進めば、米ドルの買戻しによる利益が4円、
オプション料を差し引いても3円の利益がでます。
ところで、ドルを売る時には対価の円を受け取ります。これはドルを売
って円を買う取引とみることができます。
したがって買ったドルを売る権利というのは、円を買う権利とみること
もできるので、ドル円の通貨オプションでは、ドル・プットは円コール
と同じ意味、ドル・コールは円プットと同じ意味になります。
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